借主に危険が及ぶ可能性があることを知った時の賃貸人の契約上の義務

昨日も早朝、比較的大きな地震がありましたが、最近また増えていますね。

とある古いテナントビルの話ですが、先日の地震によって入居している店舗の内壁の一部が崩れました。

元々、その店舗はスケルトン貸しで、現在の入居テナントがスケルトン状態を活かした内装にしていたこともあり、地震による被害が表面化しました。

ビルオーナーとの協議で、貸主負担で当該店舗に面している壁の補強と修繕をする運びになりましたが、

貸主としては、直接被害のなかった他の入居テナントにはこの事はふせておきたいとのこと。

しかし、他の入居テナントにもきちんとこの事実を伝えておきたい管理会社サイドとは意見が異なるため、また貸主を説得するためにも弁護士先生の法律的な見解を伺ってみました。

先生いわく、

賃貸借契約を締結している賃貸人は、民法上、契約に基づく付随義務として、入居テナントに危険が及ぶことを知った上では、それを伝える義務がある。

逆に、それを伝えなければ契約違反になり、万が一、入居テナントに被害が及んだ場合は、テナントから損害賠償を請求される可能性がある、とのこと。

また、以上については民事上の話で、場合によっては、刑事上の業務上過失傷害罪に問われる可能性もないとは言えない、とのことでした。

何かあった時の貸し手(所有者)責任は非常に大きなものとなります。

このことをビルオーナー(貸主)にきちんとお伝えし、もう一度考え直してもらうとともに、いづれにしても筋の通った対応をしていたきたいと思っています。

明日に向けて!

賃貸借契約は貸主と借主の間の信頼関係を元にした長期に渡る契約になります。

間に入る我々不動産会社も、両者の信頼関係を守るお手伝いを誠心誠意やっていきたいと思います。