コロナ禍の住宅ローン破綻についての警鐘〜ペアローンについて

昨日に引き続き、コロナ禍における住宅ローン破綻について、警鐘と対策を訴える大変参考になる記事が2つありましたのでご紹介させて頂きます。

まずは、AERA dot.のネット記事(下記リンク参照)ですが、コロナ禍の影響による減収が「住居喪失の危機」に直結している事態についての特集しています。

それによると、現在コロナ禍の影響で、厚生労働省の調査で実質賃金はコロナ危機が始まった3月から7カ月連続で減少しているようです。

また、住宅金融支援機構におけるコロナの影響による返済条件の見直しの承認件数は、3月から10月までの間に6500件超となり、様々な所得層に渡って住宅ローン返済が困難な事態が発生しているようです。

そのような中で現在、住宅を取得する際に共働き世帯に対して、金融機関や不動産会社から勧められるケースの多い「ペアローン」について、

特にコロナ禍という職や収入の不安定な時期だからこそ、よくよく考えなくてはいけないその危険性と、ローンを組む際の注意点について述べられています。

ペアローンのメリット

ペアローンとは、夫婦や親子などが、各々ローン契約を結んで、お互いに連帯保証人になるローンの手法になります。

先の記事では、ペアローンのメリットについて紹介していますが、それを簡単にまとめると次の3つになります。

1.借り入れ総額を増やせる

ペアローンにおいては、複数人、夫婦であれば2人がそれぞれ住宅ローンを組むため、合算の合計額を購入資金にあてることができるため、単独で借入をするよりも、借入の金額を増やすことができます。

例えば共働きの世帯においては、夫だけでは希望額の借入が困難な場合であったとしても、夫婦が各々借入した総額で希望額の借入が可能になる場合があります。

2.各々住宅ローン控除が受けられる

住宅ローンの契約が夫婦で別個になるため、適用要件を満たせば、住宅ローン控除の減税措置も各々受けることが可能となり、単独のローンよりも控除額が多くなる場合があります。

3.各人の事情にあった借入条件の選択が可能

複数のローン契約になることによって、借入額や金利、返済の方法や期間などについて、夫婦それぞれの働き方や考え方に応じて、各自に合った条件が選択可能となります。

以上のように、実際にメリットの多いペアローンではありますが、ローンの借入額を増やせるということは、裏を返すと返済のリスクも増えるということで、

記事の中では、住宅ローンに詳しい専門家は、

  • 収入が減らないことを前提としたローンである
  • 離職や雇用形態の変更など収入の変化が考慮されていない場合は危険

と警告しています。

ペアローンを組む際の注意点

ペアローンを検討している共働き世帯(または、親子で二世帯住宅を建てようとしている人など)にとってのローンを組む際の注意点についてお伝えします。

次に、大手不動産検索ポータルサイト『ホームズ』の関連サイト『LIFULL HOME’S PRESS』(下記リンク参照)に掲載の記事がとても分かりやすく参考になりますのでご紹介させて頂きます。

その中の要点を幾つかご紹介します。

住宅ローンを組む際の夫婦の資金計画は、最近概ね次のようなケースに分類されているとのことです。

  • 頭金と住宅ローンを夫が負担
  • 妻が頭金を負担し、住宅ローンは夫名義で借入れ
  • 頭金と住宅ローンを妻が負担

そして記事の中では、住宅ローンを利用して住宅を購入しようとしている共働き世帯に対して、ペアローンの注意点(下記)を紹介しています。

  1. 複数契約によるコスト増
  2. 共有名義と持分比率
  3. 返済の持続性
  4. 死別の場合
  5. 離婚の場合

詳しくは、下記に同記事ページのリンクを貼っていますのでそちらをご覧頂きたいと思いますが、

中でも、3番目の「返済の持続性」については、ローンを借りる時には常に心掛けておきたい非常に重要な点だと思います。

記事の中では、住宅ローンは、

  • 「借りられるか」よりも「返せるか」が大切
  • さらに「返済継続可能か」という持続性がポイント

と注意を促しています。

一般にペアローンは、住宅ローンの完済時期まで共働きが前提の返済計画になっていることが多いと思いますが、だからこそキャリアプランとライフプランが重要とのことです。

  • 子どもが生まれたら仕事を辞める予定
  • 数年後に起業する予定で現在起業準備中

例えばこのような可能性があるとしたら、共働きの世帯年収のギリギリまで借入れをしてしまうことは確かにとても危険ですよね。

夫婦の中の片方の収入が減少してしまったり、止まってしまったら家計が破綻してしまう可能性があります。

以上より、住宅を購入する際には、中長期的な視点を持ってライフプランやキャリアプランを確認することで、自分達にあった住宅や返済可能額を導き出すことが可能になるとのことです。

本当にその通りだと思いました。

まとめ

同記事の中では、

  • 働き方、暮らし方はひとそれぞれ
  • 共働き夫婦の資金計画や住宅ローンも人それぞれ

として、

業者や他人の言うことが自分達にとってベストであるとは限らない

何よりも大切なことは、

  • どう暮らしたいか
  • どう働きたいか
  • どのような人生を送りたいか

について、自分たちで考えることだとまとめています。

きっと、ローンの契約をする前にこの言葉を聞ければ良かったのに、と思っている人沢山いるのではないでしょうか。

蛇足ですが、賃貸で不動産を借りる際には連帯保証人をつけることがありますよね。

その際、生計を同一にする家族(同居している奥さんなど)は、不動産会社からは連帯保証人として断られることがあると思います。

理由は分かりますよね。

何が言いたいかと言うと、住宅ローンでは内容は少し異なりますが、共働き世帯のペアローンについても同じようなことを頭に入れながら適切に活用していくことが重要ではないかと思います。

このことからも、生計を同一にする夫婦によるペアローンは慎重にプランを検討したいものです。

【参考サイト】

ローン破綻で夢のタワマン失った もう他人事じゃない「収入減で住居喪失」の原因とは(AERA dot.)

『住宅ペアローン』の落とし穴にはまらないための5つの注意点(LIFULL HOME’S PRESS)