先日の記事で、
『不動産』という言葉のルーツについて書きましたが、
本日は、
『不動産』の法律上の定義について考えてみます。
1.法律における定義
まず、民法では、
『不動産は土地及びその定着物』
さらに、
『不動産以外の物はすべて動産』
と定められています。
ということで、土地とその定着物が『不動産』だということになります。
また、『その定着物』の代表的なものが『建物』になります。
欧米では、『土地』と『建物』は一体という考え方を取っていて、
『建物』は土地に一体として、例えば土地から木が生えている状態のように捉えられていますが、
日本では『土地』と『建物』は別々の不動産になります。
2.建物はどのタイミングから不動産になるのか?
さて、『土地』は分かりやすいのですが、『建物』はどこからが建物になるのでしょうか?
建築中の建物などは、どのタイミングから『建物』、つまり『不動産』になるのか、時系列で考えてみます。
2-1.建築工事の開始前
これから建築工事を始めるために、敷地の上に建築資材が調達されて並べられている状態はいかがでしょうか?
この状態は、法律的には、『土地』の上に建築資材という『動産』が置いてある状態になります。
なので、まだ『建物』つまり『不動産)ではありません。
2-2.建築中で、土台や柱ができた状態
例えば、建物の骨組みが完成した上棟など、建物の土台や柱ができた状態はいかがでしょうか?
結論から先に言うと、この状態、つまり『土地)に土台と柱が符合している状態であったとしても、法律上では『建物』とは言えない、と言うことになります。
理由はこの次の3の状態にはならない、ということなので、次をみてみましょう。
2-3.屋根や壁もある状態
一般的には、屋根と壁ができて、雨風をしのげる状態、つまり建物の使用目的を果たせる状態になって初めて、法律上の『建物』になります。
この段階が、新しく『建物』という別個の『不動産』が生まれる瞬間になります。
例えば、公園の休憩所である東屋(あづまや)は、雨風が横から入ってきてしまい防げないため、法律上は『建物』とは言えない、ということになります。
ということで、上記2の状態も公園の東屋と同じ理由で、法律上は『建物』とは言えない、と言うことになります。
3.影響
法律上、『不動産』になるかどうかは実務では色々影響してきます。
特に『建物』になるかどうかは色々影響してくると思います。
例えば、
借地借家法の適用は、建物所有が目的になるため、『建物』にはならない、例えば広告塔などは対象にはなりません。
また、建物を不動産登記するためには、『建物』でなくてはならないため、建築中の建物が工事がどの段階で『建物』になるかが重要になってきます。
自宅の新築などで融資を受ける場合、どの時点で建物の登記ができるかも重要になってくるものと思われます。