アフターコロナの空室対策や既存建物の有効活用のポイントは『焦点の変更』と『テスト』

本日は、東京近郊の私鉄沿線の、とある駅近のビジネスホテルにおじゃましました。

新型コロナウィルスの影響で稼働率が落ちてしまったため、今後の業態転換も含めた有効活用のご相談でした。

お客様の情報のため具体的な詳細についてはお伝えできませんが、同じようなホテル経営者の方々にとって少しでもご参考になればと思い、私がご相談時にお伝えした考え方の概要だけ簡単にお伝えします。

このホテルは、管理も行き届き、各部屋だけでなく、ラウンジや廊下などの共用部分もとても綺麗でした。

日本全国の地方都市でも、大規模な工場などが立地する近隣の駅前には、小規模なビジネスホテルが幾つかあると思いますが、コロナ以前のここ最近まではどこも比較的良好な稼働率で運営されていたのではないでしょうか。

しかし、春先からの新型コロナウィルスの影響によって、ビジネス需要や観光需要も落ち込み、堅実に運営されてきた地方都市の玄関口にある小規模ビジネスホテルは、厳しい現実に直面しているところが多いのではないでしょうか。

今回のご相談者からは今後に向けた提案を依頼され、本日は検討に先立ち物件を上から下までじっくり拝見させて頂き、帰りに物件のある駅周辺の街をひと通りくまなく歩いて現地調査を行いました。

最終的にどのような提案がベストであるかは、もう少し色々な検討や試算を重ねてみないと結論付けはまだできませんが、

以外にも、本日物件を見て直感的に思い付いて依頼者にその場で口頭でお伝えしたアイデアが、ひょっとしたら依頼者にとって色々な面でベストなのかもしれないな、と今のところ思ったりしているため、その考え方の概要を簡単にお伝えします。

考え方の柱は3本です。

1つ目は、視点を遠くから近くに移し(焦点の変更)周辺に居住する人々のニーズにマッチしたサービスを新たに追加で提供する。

2つ目は、特にこのようなご時世であるからこそ、当初はできるだけ初期費用をかけないでスタートする。

3つ目は、できることから初めて、できるだけ早くテストを繰り返し真のニーズを把握する。

もう少し詳しくご説明すると、

コロナ以前から提供していた、周辺事業所等への出張ニーズを満たす宿泊利用をメインにしたサービスに追加して、

周辺に居住する人々のニーズを満たす箱物(ハコモノ)サービスを新たに提供してみてはどうですか?

と提案してみました。

本日はいきなり口頭でお伝えしたので、お客様もあまりピンときていなかったかもしれませんが・・・。

例えば、周辺の大規模工場を訪れる出張ビジネスマンが主な客層で、観光需要はあまり見込めない立地だったとします。

それが、新型コロナウィルスの影響で出張需要が落ち込み、稼働率が半分に落ち込んでしまったとします。

このような状況について素直に考えてみると、コロナ禍が続く限り、稼働率が元に戻る可能性は少ないと言えるでしょう。

つまり、周辺に他に新たな出張需要を喚起する程の新たなオフィスや工場、学校などができたり、観光ニーズを満たす大規模イベントや新たな名所ができたりしない限り、遠方からホテルに訪れる人はが増える見込み少ないでしょう。

そこで発想の転換というか、素直に考えると、でも実際は消去法でもありますが、

遠方から訪れる人々のニーズがこれ以上見込めないのならば、新たな需要を創出するためには、近くにいる人々のニーズを掘り起こすしかない

となるのではないでしょうか?

例えば、周辺には戸建てやマンションなど多くの住宅が点在するエリアであれば、そこに居住する人々に、ホテルの部屋という素晴らしい貴重な個室空間を使ってもらうことはできないでしょうか?

普通に考えると「宿泊」は遠方の人が求めるサービスですよね。

ならば、ホテルは「宿泊」するための物、という固定概念を外して考えてみてください。

例えば、周辺に居住するするビジネスマンや個人事業主などに対して、自宅の側(そば)でテレワーク用のスペースとして時間貸しで使って頂いたらいかがでしょうか?

または、周辺に居住する学生、特に受験勉強中の学生などに対して、一人で集中して勉強することができる個室として使って頂くのはいかがでしょうか?

はたまた、教室や習い事、地域の集まりなどの場所に使ってもらったりするのはいかがでしょうか?

その他、地域には様々なニーズが眠っているはずです。

コロナ禍だからこそのニーズもあるでしょうし、コロナとは関係ない潜在的な地域のニーズは沢山あるはずです。

ちなみに、私が今から10年前に横浜市の住宅地でプロデュースした、恐らくあの当時では日本初の住宅地におけるシェアオフィスだったと思いますが、

開業してみて初めて分かったことは、やる前には想像もつかなかった様々なニーズが沢山発見できたということです。

当然、コロナ禍以前でしたが、コロナ禍以降のテレワークニーズがその当時から沢山あったということは今考えると少し驚きです。

ニーズは潜在的にあったということで、コロナというきっかけがそれを表面に押し出したということなのだと思います。

その他、客層や立地、サービス、価格の付け方など、やってみて初めて分かったことが山程ありました。

ところで、開業後にあと付けで付けたキャッチコピーは、

「自宅の側(そば)で働きませんか?」

「通勤地獄からの脱出!」

でした。

10年以上前の話ですが、今と変わりませんでしょ?笑

ぜひ、ご自分の物件の周辺立地に眠っている新たなニーズを掘り越してみてください。

ご参考までに、私が開業と運営に携わって、私の会社も入居しているシェアオフィスはこちらからご確認ください。

さて、話を元に戻してもう少しだけお伝えすえると、

上記のことを今ある内装や設備をできるだけそのまま利用して、

また、今いる人でそれを効率的に運営して、

さらに、それをできるだけ早く、一部屋でもいいから始めてみて、本当にニーズがあるのかをテストで試してみる

そのテストの結果、ニーズや要望が把握でき、

それを元に修正を施し、

「これはニーズがある!」

「これはいける!」

と思ったら、サービスを提供する部屋を増やしたり、

内装や設備、家具、人を充実して顧客満足を高める。

このようなお話しを、空きビルや空き店舗などのご相談を受けた時、私はまず最初に必ずお伝えするようにしています。

お金をかければそれは良いものができます。

しかし、このような不確定な時代においては、お金をかけたからと言って、必ず見返りが得られるという保証はなくなってきました。

それならば「お金」を大々的に使う前に、

「発想の転換」と「行動力」で少しでも多くのチャンスを見出し、

それを小さく初めてテストで試してみる、

というのはいかがでしょうか?

最後にご参考までに、コロナ禍にも関わらず中長期的なチャレンジ精神で、有休スペースを活用したニュース記事をご紹介します。

時間の関係で2つの記事のみのご紹介になってしましまたが、私はこれまで他にも多くのニュースを見聞きしましたので、ぜひ検索で探してみてください。

きっと、多くのヒントが得られるのと同時に、多くの勇気も得られるのではないでしょうか。

テレワーク 社宅共用部分やホテルの空室を活用する動き(NHKニュースウェブ)

中高生などにホテル客室を無料開放 新型コロナウイルス 山形(NHKニュースウェブ)